成年後見人

母体のトータルプロデュースモコの仕事で生前整理作業をした際の事です。

昨年の事だったと思います。

 

ケアマネージャーさんからのご依頼でした。

ケマネージャーさんのお話ですと、

「本人は認知症が進み全く分からない状態になってしまっていて、

施設に入ってしまって、もうこの部屋には戻れないんです。

お子さんがいるんですが、そのお子さんも病院に入っているので

甥の方が金銭を管理しています。その方とも相談して今回依頼する事になったんですよ。」

 

お子さんも病院?病気なんだぁ、ん?でも判断も出来ないくらい重病なのかな?

とそんなに深くは聞きませんでした。

もちろん、個人情報なのであまり根ほり葉ほり聞くわけにもいかず

黙々と作業をしていました。

 

そんな時、ご本人様が普段くつろいでいたであろうリビングで

一枚の写真を見つけました。

その写真を見た時に、すべてを解釈しました。

ご本人様と思われる女性と、その女性が頬を寄せている女性

一目では年齢などわからないけれど、明らかに愛する娘さんなんだとわかりました。

作業後ケアマネージャーさんにそっと聞いてみると

脳性麻痺で生まれて寝たきり状態であるという事でした。

お子さんは一人っ子で、ご主人様も亡くなられているので、ご本人様が

「自分に万一の事があった時はこの子は天涯孤独になってしまう」と、とても心配していたという事でした。

ご本人様もそんなに体が丈夫ではない方だったらしく、年齢と共に体の自由が利かなくなり

だんだん認知症の症状が出てきたそうです。

自分を自分でわからなくなる前に、愛する我が子の事もわからなくなる前にと

後見人制度を申し込んだそうです。

 

そのお話を伺った時、心がぎゅーっと苦しくなった記憶があります。

私たちが特殊清掃を請け負うようになって、ご家族様からご遺体の受け取りを拒否されたり

行き場のないご遺骨があったりする中で、この現場を思い出す事が多々あります。

 

経済的な事ももちろん関係してきますが、自分の事が出来ない可能性が出てきたら

何かしらの手段を使わなければいけないと感じています。

行政の方でも良し、包括支援でも良し、何かができるのではないかと思います。

その何かを探す事をしていきたいと思っています。

 

認知症というだけではなく、人の命はいつ終わりを迎えるかわかりません。

こうありたいと思うときは、もうどうにもできなくなっている事が多いものです。

自分の死後を考えるという後ろ向きな捉え方ではなく、

今を精一杯生きる為に心配事を一つづつなくすという捉えて方をしてみてはどうでしょうか?

自分の一生です。自分の一生を決める権利は誰にでもあると思います。